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夢を見る。 毎夜、毎夜繰り返される夢。 貴方はだれ? 覚えていられなかった夢が、見るたびに はっきりと 鮮明に 記憶を残していく。 その声が届くのを ずっと心待ちにしながらも、私はあぁやっぱりと少し冷めた気持ちでいた。 カカシさん、ごめんね。 恋におちて、それから 1 「あ!おかえりなさい。」 そう言って自分のもとからパタパタと、目標の人物めがけて走って行くの表情は相変わらず明るい。 「ただーいまv」 そんなを受けとめる側のカカシは、デレデレと全くそれが上忍がする表情かとあきれるほどに締まりがない。 まったく・・・まぁ、仕方がないことなのだが。 カカシを主人としていたムサシは、命令で春先からについて木の葉で起こる様々な危険から遠ざける役目をしていた。 焦れったかった2人も、お互いの壁を乗り越えようやくくっつくことになりこうして毎日カカシで言うイチャイチャした日々を送っている。 ・・・少しは毎日見せられる俺の身にもなれ。 という、ムサシの愚痴は当然聞き入れられる訳もなく。 比較的のんびりとした時が流れる木の葉の里は、寒さも緩み少しずつ訪れる春の準備をしていた。 の失踪事件以後、カカシは少しものそばを離れたくないと多少・・・いや、盛大に駄々をこねくりまわした。 「ナルトたちの任務くらい連れてっても支障はないでしょーよ。」 「なに考えてんだお前、をアイツらの任務に連れて行ける訳がないだろう! 今はそれこそ雑用みたいな事ばかりだが、今後もずっとそれが続く訳じゃないんだぞ。」 普段おとなしいムサシが声を荒げたことにより、近くにいたは対応に困っておろおろとしている。 一方でそこまで言い切ったのち、ムサシはカカシになにかに違和感を感じた。 確かにが絡むとこの男はたちが悪い。 素で駄々をこねているというのも十分にあり得る・・・あり得るのだが。 しかし、やはりなにかが変だ。 「・・・カカシ、お前なにがしたい?」 戦闘時とは違った、鋭い眼差しでムサシはカカシを見つめる。 この目、懐かしいな。 ムサシはカカシと対等な立場になる時、この瞳を見せた。 使う者と使われる者ではなく、それは古くからお互いを支え合う、親友や兄弟のような関係。 父より与えられた時から始まったこの絆。 初めはベタベタと接しようとして、よく怒られたっけね。 『俺はお前のペットではない、甘えるな。』 この空気が嬉しくて、カカシは思わず瞳を細めた。 相変わらず勘が鋭いムサシを、心から尊敬しこれから告げねばならない事実に覚悟を迫られながらも。 「さーっすがムサシ。」 「なんだ、はっきり言え。」 まだカカシの瞳の奥は告げる言葉に、心が揺れている。 わずかな間にムサシは、先ほどからのカカシの妙な態度に全て納得した。 あぁ、ついに俺にもこの時がきたのか。 「そうか・・・まぁ、それもそうだな。いいタイミングだ。」 互いの作り出す空気だけで、わかり合う2人の様子には先ほどから1つも口が出せない。 「ホント・・・オマエは賢いね。」 少し苦し気な表情のカカシに、対するムサシはニヤリと笑って。 「お前が回りくどいのは今に始まったことじゃないからな。」 「ちょ、の前でそういうこと言うのヤメてちょーだいよ。本気にするでしょ。」 言いにくい事の前には必ずわざとおどけてみせるカカシの癖。 もう、随分と前から覚悟は出来ていた。 「はっきり言え。カカシの口から直接聞きたい。」 「ん、そうだね。」 「・・・ムサシ、オマエとは本日をもって口寄せの契約を解除する。」 「えっ?!」 突然そう告げたカカシには驚くことしか出来ない。 だって、そんな・・・ムサシくんは今までずっとカカシさんのそばにいたのにどうして急にそんなこと。 「いいんだ、。」 「オレとしてもツラいとこなんだけどね。」 しかも、本人たちはとっくに納得済みらしくばかりが置いてきぼりをくらっている。 の隣にカカシが座り、いつの間に回したのかその腰にはさりげなく腕が。 場所を構わずくっつきたがるカカシに、がようやくイチャイチャするのは家で2人きりの時だけだと しつけるのに随分と苦労していたな・・・じゃなくて。今はそんなことはどうだっていい。 ムサシは2人を見てそんな事を思いつつも、向かいのソファーに寝そべり話を続けた。 「俺が入院をしたくらいか?」 「そーね、オレはそのくらいからかな。」 「どういうことですか?」 「つまり、いくら忍犬の寿命が長くても所詮生き物だからね。 それに加えてオレの手足として動いてもらうワケだから衰えたら使い物にならないってコト。」 「でもカカシさん!そんな言い方しなくても、」 トゲのあるカカシの言い方には自分の事のようにショックを受けた。 「いや、俺たちは使う側と使われる側だ。それが正しい、と俺がカカシに教えてきたことだ。」 そこでようやく冷静になってカカシさんの表情を見てみると、 ムサシくんに戦力外通告をすることに彼なりに痛みを感じているのだというのがわかった。 「情に流されてはかえって術者を危険にさらすことになりかねん。いい判断だ、カカシ。」 「じゃあ、もうムサシくんとは一緒に居られないんですか…?」 の問いに、待ってましたとカカシが嬉しそうな笑みを浮かべてその口を開いた。 「その逆、ムサシには家で一緒に暮らして貰おうと思ってる。勿論、ムサシ次第だけどね。 もう命令は出来ないし、残りの命をどう過ごすかは自由だよ。」 主従関係が解かれた今、合わさる視線は古くからの友人のような兄弟のようなあたたかさで繋がっていた。 「それでか、お前の最初の駄々っ子ぶりは。」 「新しい家族としてオマエを迎えたいんだよ。」 「ムサシくん・・・?」 答えなど初めから決まっている。 「世話になるぞ。カカシ、。」 そう答えたムサシに、カカシはそっと息を吐きはとても嬉しそうに笑っていた。 カカシの命令がとのそもそもの始まりだとしても。 いつしか自ら守りたいと思うようになった、その存在。 そしてこの世に生まれ落ちた時から使えてきた、主であるカカシ。 これからは1匹の元忍犬として、 そっと傍らで2人の行く末を見つめていたいというのが、今の自分の生きる理由だと思った。 そんなこともあり、晴れて自由の身となった俺は カカシの家で世話になりながら今度は自らの意思での護衛についた。 歳を理由に引退したとはいえ、パートナーがカカシであるゆえに求められるレベルの次元が高かっただけで ムサシはまだまだ忍犬として申し分ない力を持っている。 だからこそ、カカシも安心して任務に出向いていけた。 始まりました、続編。 今回はちょこっとづつアップしていきたいと思います。 けっして出し惜しみしてるわけじゃ・・・(汗 というより、前回ほどの長さになるまでにかなり時間がかかるので そうなると前に書いたものを激しく直したくなるので、中々更新できないという 負のスパイラルから抜け出せなくなると困るのでこういうスタイルにしてみました。 このあとがき部分も気分で書いたり書かなかったりだと思います。 |